ちょっと長いへとへとな大事件が勃発です。(本当に長い!)
ある土曜日の夜12時をまわった寝入りばなのことです。寝室でうとうとしていると・・・!?
「ウニゃ!うにゃにゃにゃぁ!ウーッ、ウーグルグルゥ〜。」
!?
居間の方からかつて聞いたことのないにゃんたのへんてこな声が。
「どうしたのぉ・・?」
ふらふらと近づくと、窓辺をうろうろ&くるくるしてはなお、しゃべり続けるにゃんた。
「どっか痛いの?」

スッ。
!?エッ。
スゥー。!!!黒い影。ど・ど・ど・泥棒?
きゃぁああああああああ。
よーく見ると
6階のベランダの外で、見知らぬ黒い猫がこちらを向いておすわりしています。
な・な・なんで?ここは6階なのよ!!
慌てて窓を開けると黒猫は飛び込んできました。
すぐに私の脚にスリスリしてくるところを見ると、どうやら飼い猫です。グルグル・・・。
一方、にゃんたはパニック状態です。臆病だから遠くで走り回っています。弱虫だなぁ。
実は、私もパニックです。
(冷静に、落ち着けよ。6階なんだから、外から来たわけじゃなくて・・えっと・・)
(あ、そっか。ベランダ続きの家から柵をつたって来ちゃったんだ!)
(うわあーぁぁ。落ちなくて良かった!)
「今、おうちを探してくるからね」「にゃんた君、ちょっと辛抱ね」
あわてて着替えて、黒猫は居間に、パニくるにゃんたを寝室に入れて、玄関を飛び出しました。
並びの部屋は5室。夜中に迷惑な方もいるでしょう。どうしよう。
うろうろ。
電気の点いているところからピンポンすることにしました。ピンポーン。
「あのー。猫ちゃん飼っていらっしゃいませんか?」
「えっ?あ、あー。ちょっと待って下さい。」
(おー。一発目で当たりを引いたか。ついてるな。)
ガチャ。
出てきたのは初めてお目にかかる中年の女性でした。(以下おばさんー失礼。)
おばさん「黒い猫のこと?
あら、ベランダに出して窓閉めてたからそっちにいっちゃったのねー。」
(ちょっとムッ。)
私 「ベランダに出して飼ってるんですか?危ないじゃないですか?」
おばさん「主人と食事に行った帰りに、なついてきて可愛かったから拾ってきたのよー。
部屋が汚れてもいけないんで、
ちょっと遊ばしてからベランダに出したのよー。」
(ムカムカ・・・・語尾のばすなよ!)
私 「6階は落ちたら死んじゃう高さなんですよ。お部屋に入れてあげて下さい。」
おばさん「汚されても困るしねぇ。おしっことかするでしょ?」 当たり前です。
私 「飼う気がないのに連れてきてどうするつもりだったんですか?」
おばさん「明日になったら元いた場所に戻すつもりだったのよ。」
(そんな・・無責任な・・・・ああ、もう抑えられない!!!)
私 「あなた!それはあまりにひどいじゃないですか?おもちゃじゃないんですよ。
見れば迷い猫じゃないですか?飼い主が探してたらどうするんですか?」
青ざめるおばさん。
私 「もう、こんな夜中ですし、お宅がだめならうちで預かります。」(何でぇ?)
おばさん「それじゃぁ申し訳ないわ・・。ちゃんと明日元の場所に戻すから許して。」
私 「でも、子猫だし、迷い猫でお家を探せなかったらどうするんですか?」
おばさんと私は話し合い、その夜はおばさんが預かると言い張るので、
にゃんたの砂を段ボールに入れた即席トイレと、同じく箱にタオルを敷いた寝床を作って
彼女に黒猫を預けました。
持っていた猫の本で調べると通常500m半径が行動範囲らしく、
明日から拾った場所から500m半径の動物病院やショップ、電柱などいろんなところに
張り紙をして一緒に飼い主を探そう!ということにしてその夜は別れたのです。
おばさんは昼までパートがあるから午後から探すことにしてー、と言います。
ムカムカはおさまりませんでしたが、これ以上怒っているのもどうかと思い、了承。
その夜、私は黒猫の似顔絵(宅急便のマークみたいな)を描いてチラシをつくり、
コンビニでコピーをたくさんして明日からの活動の準備をしました。
にゃんたはまだ興奮さめやらず、窓を見張っては走り回っています。
(もう大丈夫だよ。黒ちゃん(いつの間にか名前に)のお母さんを探してあげようね。)
ついこの間まで猫嫌いだった私のこの変わりよう。
さて、翌日。約束の時間になったのでおばさんを訪ねると、黒ちゃんが部屋にいません。
私 「猫ちゃんは?どうしたんですか?」
おばさん「朝、出かける時に部屋をいたずらされると困るから
管理人さんに預けたのよー。」
(また!あーまた怒っちゃいそうだ。でも我慢がまん。)
早速管理室に行くと、
管理人 「あー、あんまり鳴いてうるさいんで、別の場所に移しておきました。」
私 「ご迷惑をおかけしました。どこですか?別の場所って?」
管理人 「ゴミ置き場です。」
(がーーーーーん。どいつもこいつも。)
走ってゴミ置き場のドアを開けると、真っ暗な生ゴミのにおいの中から
「みゃー・・みゃ・・」小さい声がしています。
見ると段ボール箱が蓋をされて、ゴミと一緒に置かれています。
私 「なんてせつなかったろうに。ごめんね。ごめんね。」一人言状態です。
もう、誰も怒る気になれません。昨日の内に戻しておくべきだったのでしょうか?
私の早とちりでこんなひどい目に遭わせてしまった。ごめんなさい。黒ちゃん。
結局、私の家で預かることに。
今度はにゃんたが雄叫びをあげて威嚇しまくっています。我慢してね、にゃんた。
さあ!にゃんたと黒ちゃんの部屋を分けてから活動開始!
おばさんと手分けをして、該当エリアそこら中にチラシを貼りめぐらしました。
2ー3日が勝負でしょう。
万が一飼い主が現れなかったら、私が引き取るべきなのでしょう。
乗りかかった船です。何ておせっかいな人間なんだろう。
でも、にゃんたは喧嘩に負けて私と暮らすことになった猫嫌いの猫です。
にゃんたの気持ちが心配です。私がいない時に喧嘩になったらどうしよう。
「にゃんた君、黒ちゃんと仲良しになれる?」 ウ〜ウゥ〜。あぁ!どうしたらいいの?
不安になり、獣医さん(05に登場した獣医版・財前五郎)に電話をすると、
財前五郎「うん。迷い猫の可能性高いから見つかるんじゃない?」との力強いアドバイス。
神様!どうか見つかりますように。
2日目の夜、仕事から帰ると留守電が点滅しています。
「チラシをみて電話をしました。飼い主さんが見つからなかったら引き取りたいんですが」
あー。救われるなぁ。こんなすばらしい心根の人もいるんだ。世の中捨てたもんじゃないなぁ。
結局、1週間待ってもその電話以外連絡はなく、
その優しい方(ご夫婦)に黒ちゃんとお見合いをしていただきました。
お話しすると1年前に長年飼っていた猫を亡くされ、もう飼うまいと思ったがチラシを見て
思い立って下さったとか。
この方々なら、黒ちゃんは幸せに暮らせるにちがいない!
次の週末にお預けすることになりました。
黒ちゃんとの最後の夜、私も寂しい気持ちで彼女(女の子でした)をなでていると・・
ピンポーン。
おばさん「今夜が最後と思ったら寂しくって。最後の夜だけ預からせてくれないかしら?」
・・・・・思えば、配慮が多少ないおばさんですが、悪い人ではありません。
おばさんも黒ちゃんとお別れをしたいのでしょう。
黒ちゃんはこのマンションの最後の夜をおばさんと過ごしました。
さあ!いよいよ黒ちゃんの門出の朝です。
バスケットを用意しておばさんの部屋に向かうと・・・・なんてことでしょう!?
泣きじゃくったおばさんがドアを開けて出てきました。
おばさん「ごめんなさぁーい。ううっ。(泣きじゃくり状態です)
空気の入れ替えしようとして玄関のドアをあけてたら
黒ちゃん、どっかいっちゃったのよー。ごめんなさ・・・・い」
あぁー。何でこうなるのぉ?やめてぇ〜〜〜
絶句とはこういう時にいうのでしょう。何も返す言葉が見つかりません。
私はなんて馬鹿なんだろう!この人に任せるんじゃなかった。私のせいだ。
泣きじゃくるおばさんを置いて、走りました。
マンションの廊下という廊下を走りまくりました。
いません。黒ちゃんはどこにもいないんです。
泣けて泣けて仕方ありません。外は大通りです。車に轢かれたらどうしよう。
「クロー!くろちゃぁーん。くろちゃぁーーん。」
気がふれたように大声で探しますが黒ちゃんはいません。
あああああああああ。
1時間ほど走り回ったでしょうか?力尽きてエントランスまで戻ってくると、
スッ。
!?エッ。
スゥー。!!!黒い影。くろちゃん!!!!!!!
何と黒ちゃんが私の脚にスリスリして来たのです。
神様!本当にありがとうございます。あー。よかった。本当に良かった。
こうして、無事に黒ちゃんは優しいご夫婦にもらわれていきました。
にゃんたは2週間近くの同居がよほど応えたらしく、神経的な下痢と拒食症になりました。
にゃんたには刺激が強かったみたいです。もちろん、私にも。
しばらく通院し、その後、にゃんたも私もまた元の静かな生活に戻っていきました。
おつかれ!にゃんた君。巻き込んでごめんね。ゆるしてね。
さて、その後・・・・・・・。
あのトラブルおばさんは、まったく悪びれることもなく、
「あら?げんきぃー?いなくなるとさみしいわねー。飼えば良かったわー。」
もう!勘弁して下さい。





